日本矯正歯科学会 認定医
昨年末に「日本矯正歯科学会(JOS)」の認定医更新試験に合格したので、皆さまに報告します。認定医歴16年目になりました。
様々な人から、「どこで矯正したらいい?」と聞かれます。それには、「日本矯正歯科学会の認定医がいいですよ。」と答えることにしています。少なくとも、日本矯正歯科学会に所属をしており、認定医と連携がとれている先生が良いと思います。引越しなどで、転院する場合もそうです。
この認定医という制度は、矯正歯科医療の水準を維持し向上を図ることによって、一般市民の皆さんに適切な医療を提供するために行われているもので、歯科関係者の中で最も有名な資格と考えられます。日本矯正歯科学会は、最大級の歯科学会であり、100年の歴史があります。
取得条件は厳しく、最短で取得するのに歯学部から合算して11年を要します。矯正治療は、長期間の治療であり、治療後も安定させることが重要だとすると、勉強期間も当然長くなります。更新条件もとても厳しく、10万人の歯科医師のうち3%の3千人くらいしかいません。矯正歯科を専門に行っている先生でも、この認定医を保持できている先生のほうが少ないくらいです。
また、知識や技術を有するだけでなく、広告ガイドラインなどの学会規則を遵守する義務があり、矯正歯科を行う医師の規範であることの証でもあります。そういう意味でも、最も信頼できる資格であると思います。にもかかわらず、世間に認知されない一つの要因は、先に述べた広告ガイドラインを遵守する義務があるためです。実は、広告にこの認定医という言葉を使ってはいけないし、ウェブサイトでそれを強調することも禁止されています。
中国地方には、広島大学と岡山大学とに矯正科があることから、他地方と比較して認定医が多い地域ですが、それでも安佐南区では少ない状況ですし、当院においては、2024年現在、夕方か土曜日しか通院できない方には、治療開始をかなり待っていただいており、心苦しく思っております。食生活の変化から、歯列矯正への需要はますます高まる一方ですが、長期間腰を据えて勉強する若い先生はなかなか増えてきていません。若い先生には、ぜひ矯正歯科を勉強して欲しいです。また、片手間に矯正治療を行う先生は、矯正歯科をしっかり勉強した上で、認定医と密に連携をとっていただきたいと願っております。
患者さんが、そういった医師の下でしか、矯正治療を受けないという賢い行動をとれば、医師も勉強せざるを得なくなると思います。